楽器を始めた。
本当はアコースティックギターをやりたかったのだけれど、賃貸では存分に練習できないと思い、
小さなウクレレにした。
キラキラ、ポロンと
可愛いウクレレの音色に癒される。
音楽を楽しんでいる私を見て
羨んだ彼氏がギターを習い始めた。
家でも練習できるからエレキギターにしたらしい。
私は最初、エレキギターの割れるような激しい音があまり好みではなかったのだけれど、
ある日、彼氏がイケてるレスポールをお迎えしてきて。
なにそれ、カッコイイ!!
もともとはギターをやりたかった心が
うずうずし出した。
ここに
内向的で石橋を叩いて渡る私と
外交的で思い立ったら即行動する彼氏との
性格の違いがあらわれていた。
それは陰と陽みたいな。
わかりやすいように
私と彼を仮名、月子と陽太としてみる。
「楽器をやりたい!」と思った陽太は、
さっそく職場の人に話してみた。
すると、楽器を習ってる人がいたらしく
「いいスクールがあるよ!一緒に行ってみる?」と話がとんとん拍子に進み、仲間と共に習い始めることになった。
自分のギターが欲しくなった彼は、すぐに有名な楽器屋さんへ。
そこでとあるギターに一目惚れして、まだ習い始めて数日しか経っていないのに
一丁前にギブソンの高級ギターを買ってきた。
彼曰く「後戻りできないように、あえて高価なものを買った!だから練習を頑張るんだ!」
衝動的だが、ポジティブに全振りしている。
一方、
「エレキギターが気になる!」と思った月子は
エレキギターの種類や仕組みについて調べ始めた。
ギターを始めるとしても、習いに行こうとは思わない。そういうスクールとか苦手だし。
ひとりで好きに黙々やりたいから、独学で上達できる方法を調べる。
最初のギターも慎重に選ぶ。
貯金もしたいし、現実的に楽器に出せる予算内で考える。
「続くかどうか分からないから、とりあえず安価な初心者モデルから始めたい」
次の給料が入ったらギターを買おうと考えている。
どちらのタイプが良いとか悪いとか
そんなものはなく。ただの性格であり個性。
だけど、
良い意味で他人を巻き込んで周りの人のサポートを受けて、世の中をじょうずに渡っていく陽太が羨ましいと
月子は思う。
無駄に知識だけを増やしていき、
募るギターへの想い。
それはそれでまた、ワクワクするし、
月子は月子なりの楽しみ方で。